信仰がどーとかではなくて、精神的な辛さや日々の悩みを華麗にスルーするためのテクニックの一つとして、仏教はかなり有用であると思われます。
というわけで、道具、或いはテクニックとして仏教の考え方を日々の生活で使いこなせるようになる、そういう視点で読んできた仏教関連書籍をご紹介。
細かい各論やインド古代史、文化史、仏教の伝来に伴う教義の変遷などは専門家が考えることですのですっぱり無視してます。
上座部系の、つまり瞑想で自分の心の動きを観察して云々・・・という系、あとは原始仏教関連を読んでます。
最初に買った仏教書。ゆるふわ。
仏教を使った精神分析手法・・・と言っても差し支えない。人間の心の動きを仏教視点で分析し、怒りや欲、傲慢の鎮め方を解説。
最近になって何冊も本を書いてますので、この人の本を目にした人も多いのでは。
心の動きを観察する、というのは上座部仏教の印象が強く、そうなると原始仏教に目が行くわけです。
ということで日本が誇る仏教界の巨人、中村元氏の著作を読んでみました。
・「原始仏教―その思想と生活」
・「中村元「仏教の真髄」を語る」
・「中村元が説く仏教のこころ」
・「ブッダのことば―スッタニパータ」
中村元氏による日本語訳は、訳文よりも註解の方が文章量が多くなっているので注意。
「なぜこのような訳出にしたのか」を後世に伝えようという心意気故なのだと思う。多分。
中村元氏による原始仏教の一連の著作は、スッタニパータなど当時の資料を読み解くための文脈を知る上で有用です。
一方で、やはり現代に生きている以上、ブッダが語った言葉を今に活かすための橋渡しも必要です。
そういう場合は、アルボムッレ・スマナサーラ氏の著作が参考になります。
・原訳「スッタ・ニパータ」蛇の章
スッタニパータなら中村元氏による訳出があり、上でも紹介しています。
ただ、スッタニパータって濃縮度が高すぎるんですよね・・・。例えば「牛飼いダニヤ」の話、スッタニパータ読んだだけでは、なんで最後になって雨がふりだしただけで、いきなり牛飼いダニヤが「仏に帰依します」なんて言い出したのか分かりませんでした。
ということで、スッタニパータの中でも「蛇の章」だけを、今の生活に活かすための解説を付けてくれたのがこの一冊です。
お気楽に仏教を知りたいためのエントランス。
手塚治虫版「ブッダ」は取り上げませんでした。あれはあくまでも漫画、フィクションですので。
手塚治虫版の「ブッダ」は「火の鳥」にもつながる輪廻転生の世界観が強く描かれているように感じます。
一方で原始仏教を調べていくと、どうも「解脱」や「悟り」は輪廻転生の輪から外れることを目的としているように思われる。
死んだ後どうなるのか、来世は存在するのか、そうした疑問に対しては「無記」を貫き、まずは今眼の前にある苦しみに同対処すれば良いのか、それを積み重ねていくことで「涅槃」に到達する。
ということで手塚治虫版「ブッダ」は、ゴータマシッダールタという人の伝記としては面白いのですが、仏教を学んだりツールとして使いこなすという視点では向いてないように思えたのでスルーしました。
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